昨年に続いて、名古屋葵大学(旧・名古屋女子大学)家政学部の授業にて、特別講義を担当させていただきました。
ライフオーガナイザーであり犬や猫の問題行動を扱う獣医師として、犬猫が人が快適に暮らすための住まいの工夫、そしてそれを支える片づけの視点について、家政学を学ぶ学生の方たちに向けてお話ししました。

目次
犬にも猫にも“ちょうどいい”空間——QOLを上げる住まいのヒント
まず前半では、獣医師としての視点も交えて、犬猫の行動特性やストレスを防ぐ住環境づくりについて。
彼らの「本来の行動がとれる環境」をつくることが、問題行動の予防やQOL(生活の質)の向上につながるという話を中心にしました。
たとえば、猫には登る・隠れる・見渡すといった本能的な行動が必要だし、犬は体格に応じた安心スペースを確保することで落ち着いて過ごすことができます。
また犬でも猫でも、トイレやフード、水などの必需品にスムーズにアクセスできるよう配置するのはもちろん必要ですが、お世話は毎日続くもの。
飼い主さんのお世話しやすさと犬猫の行動に配慮した生活動線を整えることで、犬猫との暮らしをもっと楽しめるようになります。
モノより先に、自分の価値観を整える——ライフオーガナイズという片づけ法
後半では暮らしを整える手段のひとつとしてライフオーガナイズの片づけをご紹介。
実際に行動を起こす前に「自分がどう暮らしたいか」「何を大事にしたいか」を明確にするところから片づけは始まります。
この「思考の整理から始める」ということが、学生の方たちには特に印象に残ったようです。
自分や家族にとって大切なものを選ぶ、その基準を明らかにすることは暮らしはもちろん、これからの人生の指針としてきっと役にたつはず。そんなメッセージを込めてお伝えしました。
実際に自室を作図してもらい、思考の整理を体感するという演習も。
短時間での演習でしたが、片づけるときにどんな思考の過程をたどるのか気づくきっかけとなったのでは、と思います。
心地よい暮らしのしくみは「価値観」と「理解」から生まれる
片づけるという一連の行動の土台となるものが、「どう暮らしたいか」という価値観。
それをもとに得意な行動に沿ってしくみを作る。
自分だけでなく、そこに住まう家族そして犬猫の行動を理解する、という視点が加わることで、その家庭にとってより心地よい暮らしがつくれるのだと思います。
これからも、こうしたテーマを広く伝えていける機会があれば嬉しいです。
もし講座やセミナーでご一緒できそうな場がありましたら、ぜひお声がけくださいね。