わたしたちがモノを選ぶ基準として機能や価格などが挙げられます。
これら一般的な基準に加えて、「見た目」「手触り」「におい」「音」などで選ぶこともあります。
ただ、同じものを心地よく感じるかどうかは人によって異なります。
その感じ方の違い、「感覚過敏・感覚鈍麻」についてをテーマにCLOプログラム受講メンバーで勉強会をしました。
感覚過敏と感覚鈍麻って?
感覚過敏とは、普通の人には気にならない音や匂い、触感などに対して過剰に敏感に反応してしまう状態を指します。
例えば、パイプにハンガーをかける「キーン」という音、シーツのザラザラした肌ざわり、雑踏の強いにおい、あるいは蛍光灯の明るさなどがストレスになることがあります。
一方で感覚鈍麻というのは、痛みや疲れ、暑さ寒さといった刺激を感じにくい状態です。
これらの感覚の違いは、人それぞれであり、片づけや生活の仕組みを考える際に大きな影響を及ぼします。
メンバー間で感じ方をシェアすることで「自分が心地よいと感じる環境が、必ずしも他の人にとって快適とは限らない」ということを改めて学びました。
家族や同僚、友人との関係でも、自分の感じ方だけで判断せず、お互いの感覚を尊重することが大切ですね。
犬猫の困った行動、知覚過敏が隠れているかも?
犬や猫にも知覚過敏はあり、神経疾患の症状のひとつとして表れることがあります。
感じ方の違いが、攻撃行動や常同障害(同じ場所をぐるぐる回る、同じところを舐め続けるなど)のような問題行動の背景となることも。
残念ながら犬猫の困った行動を見ると、「しつけが悪い」「甘やかしすぎた」と考えられてしまうことがまだまだ多くあります。
しかし困った行動の背景には、身体的疾患や生まれ育った環境、人や動物との関わりなどさまざまな要因が存在します。
そのひとつとして、その子の感じ方の違いがあるかもしれない。
頭の片隅に入れておくだけでも、困った行動に対して適切な関わり方を探すきっかけとなるのではないでしょうか。
知ること、想像することで犬猫と関わるための引き出しを増やす
犬や猫の感覚の違いを理解し、その子に合った生活環境を整える。
そういわれてもよくわからない、少し難しいと感じるかもしれません。
でも大切なのは、「この子はどう感じているんだろう?」と考えながら接すること。
自分にない感じ方だとしても、その痛みを想像してみること。
そうした関わりは犬や猫との絆を深め、家族が笑顔になれる時間を増やします。
とはいえ犬猫の困った行動を飼い主さんだけで対処するのは難しい場合が多いので、気になる行動があるときはかかりつけの動物病院で相談してもらったり、行動診療科の受診をご検討くださいね。