ビニール、電池、布、子どものおもちゃ…。
「うちのコが食べちゃいました」
「食べちゃったかもしれません」
犬猫が誤食してしまう可能性のあるものは、枚挙にいとまがありません。
レントゲンや超音波検査などで誤食してしまったのが確定されたとき、「どうしてうちの子は」「自分の管理が甘いせいだ」と、飼い主さんがご自身を責めてしまう場面もよく見られます。
誤食は命に関わる緊急事態です。
だからこそ焦りと自己嫌悪が強くなる。
しかし、まずお伝えしたいのは、誤食は「しつけ不足」だけで起きるものではないということです。
なぜ、気をつけているはずなのに繰り返されるのか?
私は行動診療に携わる獣医師であり、同時に、日本ライフオーガナイザー協会の専科資格CLOプログラム(ICD:Institute for Challenging Disorganization と提携)で、片づけの困難さの背景にある問題についても学んでいます。
その両方の視点から見ると、誤食は「構造」の問題として説明できます。

目次
【重要】犬猫が誤食した可能性があるときは
まず前提として、誤食の疑いがある場合は自己判断せず、速やかに動物病院へ連絡してください。
吐かせてよいかどうかは、飲み込んだ物や時間経過によって異なります。
この記事では「なぜ繰り返されるのか」「どう再設計するか」を解説します。
誤食の原因①|犬猫の自然な行動メカニズム
物を口にする、咬むといった行為は犬猫にとって食べることに関連する自然な行動。
特に若齢期は、目の前にある物が食べられるか食べられないか確かめる欲求が非常に強いです。
また、物を咬んでいたら飼い主さんが驚いて反応してくれた、追いかけっこになった……。
こうした経験が、犬猫にとって「メリットのある楽しいこと」として記憶され、行動が強化されてしまいます。
さらには運動不足、慢性的なストレス、消化器疾患が隠れているケースでも誤食のリスクが高まります。
誤食の原因②|なぜ“置きっぱなし”が起きるのか
診療で飼い主さんにお話を伺うと、非常に多いのがこの2つです。
・「つい置きっぱなしにしていた」
・「なくなっていることに気づかなかった」
「物を置きっぱなしにしなければいい」
「不要なものをすぐ処分すればいい」
理屈では分かっていても、それができないからこそ、みなさん苦労されていますよね。
実はここには、飼い主さんの性格や根性ではなく、「実行機能(脳の司令塔機能)」が深く関わっています。
実行機能の働きと誤食の関連は次のように考えられます。
優先順位づけ・見通しの保持: 「今は忙しいからあとで」と一時置きしたまま、別のことに意識が向き、そのまま忘れてしまう。
衝動制御・ワーキングメモリ: 刺激が多い環境の中で、危険物の隔離というタスクを「常に」意識し続けることは、脳にとって非常に大きな負荷がかかる作業です。
つまり実行機能が低下している場合、
✔ 「あとで片付ける」が増える
✔ 一時置きが常態化する
✔ 危険物の隔離を継続できない
✔ 物の総量が増えやすい
というように犬猫が誤食しやすい環境となってしまいます。
これは決して意志の問題ではありません。
「片づけられない自分」を責めるエネルギーを、自分に合った「しくみ」を作るエネルギーに変えていきましょう。
根性論をやめる|誤食を防ぐ4ステップ再設計
再発を防ぐには、犬猫へのアプローチと、飼い主さんの管理負荷を減らす「設計」の両輪が必要です。
Step1:危険度の徹底分類
すべてを完璧に片づけようとすると、いつか限界がきます。
電池、医薬品、紐状物など、高リスクなものだけに優先順位を絞り、「これだけは絶対に」アクセスできない場所へ隔離します。
Step2:物理的遮断(動線制御)
「気をつけよう」という意志の力に頼るのをやめましょう。
ゲートの設置や、蓋付きのゴミ箱への変更、飼い主さん留守時の行動範囲の限定など、物理的に遮断するしくみを整えます。
Step3:代替行動の強化
「噛んじゃダメ」と禁止する代わりに、「これなら噛んでいいよ」という安全な出口を作ります。
知育玩具やトレーニングを通じて、犬猫の「咬みたい」「食べたい」欲求を安全に満たしてあげましょう。
Step 4:飼い主さんの負荷軽減設計(ここが重要です!)
飼い主さんの管理のハードルを徹底的に下げます。
例えば、犬に届かない高い位置に「とりあえず箱」を設置し、とにかくそこに入れるだけ。
カーテンをかじってしまうなら、ロールスクリーンやブラインドにする。
ワンアクションで片づく収納や、視覚的なラベリングで、迷う時間を減らします。
こうした方法は、飼い主さんの実行機能を補助してくれる環境をつくりだしていきます。

誤食は「構造のミスマッチ」
誤食が繰り返されるのは、あなたの愛情や努力が足りないからではありません。
「犬の特性」 × 「刺激過多な環境」 × 「飼い主さんの管理負荷」
このバランスが崩れている、いわば【構造のミスマッチ】が起きているだけなのです。
「私が頑張ればなんとかなる」
という根性論に縛られ、犬猫との暮らしを楽しめなければ本末転倒です。
行動診療の視点、そしてCLOプログラムの学びを活用したライフオーガナイズ。
これらを統合し、犬と人の双方が楽に、安全に暮らせる「構造」を再設計するのが私の役割です。
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獣医師・ライフオーガナイザー®。犬猫と人が安心して暮らせる住まいを整える専門家。獣医師としての行動学の知見を活かし、暮らしと空間の「しくみづくり」をサポートしています。江南市を拠点に、訪問・オンラインで対応中。
公式サイト:ハナサカライフ
