「使ったら、元の場所に戻してね」
わが家で、いったい何回この言葉を口にしてきたでしょうか。
玄関に放り投げられたランドセル、リビングの床一面にひろがるおもちゃ、薬の残り。
片づけても片づけても、気づけばまた元通り。
そのたびに「結局、私ばかりが片づけている」という気持ちがわいてきて、正直、疲れてしまうこともあります。
家族を責めたいわけではないのに、どうすればこの状態が変わるのか分からない。
そんなふうに感じたことがある方は、少なくないのではないかと思います。
私も、長くその一人でした。
獣医師として、そしてライフオーガナイザーとして、犬や猫、そして人が、それぞれ無理なく心地よく暮らせる仕組みづくりのお手伝いをしていますが、実は自分の家の中でも、同じ悩みにぶつかってきました。
今日は、私自身がわが家で経験したことをもとに、「家族が片づけてくれない」ことの裏側にあるかもしれない理由と、そこから見えてきた収納の考え方についてお話ししたいと思います。
「これ、戻すだけじゃない?どうしてできないの?」と思っていた
私はもともと、片づいた部屋で暮らすことが当たり前でした。
物の場所を決めて、使ったら戻す。
それだけのことを、特に意識せずにできていました。
ところが結婚して夫や子どもたちと暮らし始めてから、一番悩んだのが片づけでした。
使ったら戻すだけなのに、どうしてそれができないの?
散らかっている状態が我慢できない私が結局片づけることになる。
「どうして私ばかり?」という気持ちが積み重なっていきました。
今振り返ると、これは家族のやる気や性格の問題というより、私が「自分にとって分かりやすい収納方法」を、そのまま家族に当てはめようとしていたことが大きかったように思います。
私にとって簡単な方法が、家族にとっても同じように簡単だとは限らない。
当たり前のようですが、当時の私には、それがなかなか見えていませんでした。
片づけやすいやり方は、人によって違う
ライフオーガナイズを学び、片づけを家族に合わせて見直すようになってから、「片づけやすい」やり方は、人によって違うということを折に触れて実感するようになりました。
たとえば、こんな違いがあります。
- 細かく分類したい人もいれば、大まかにひとまとめにしたい人もいる
- 文字のラベルが分かりやすい人もいれば、色や形、置いてある場所で覚えやすい人もいる
- 中身が見えたほうが分かりやすい人もいれば、見えなくても探せる人もいる
私は、物をそろえてきちんと中にしまうことが当然ととらえていました。
でも、それが家族にとってはどこにいったかわからなくなる原因だったのです。
さらに、片づけを進めるにつれ、私自身も引き出しや扉の開け閉めがないほうがとてもラク!という意外な発見もありました。
片づけやすさの背景には、こうした「分かりやすさの感覚の違い」が隠れていることがあるのだと、少しずつ実感していきました。
必要だったのは、片づけ方を通訳することだった
私は、長女のことを「片づけられない子」だと思っていた時期がありました。
何度伝えても、なかなか物を元に戻せない長女を見て、片づける力そのものが足りないのだと感じていたのです。
でも、実際はそうではありませんでした。
私が「片づけて」「元に戻して」という言葉で伝えていた内容や、私にとって分かりやすい収納の形が、長女にとっても同じように分かりやすいとは限らなかったのです。
大切だったのは、長女を繰り返し注意することではなく、本人が理解しやすく、行動に移しやすい方法へと“通訳”することでした。
同じ「片づけて」という言葉でも、その先にある具体的な行動や仕組みが本人に合っていなければ、なかなか実現には結びつきません。

あれこれ試して見つけた「これならできる」収納
わが家の玄関には、夫や子どもが使う野球道具を置いています。
収納ボックスや収納用品を用意していたのですが、以前はそれらが使われず、道具が床に置かれたままになることがよくありました。
そこで、なぜ戻せないのかを考えるのではなく、家族が実際にどう動いているのかを観察してみることにしました。
すると、夫や子どもには、
- どこにあるか、ひと目で見える
- 立ったまま、その場で戻せる
- 扉やフタを開けなくてよい
- 細かく分類しなくてよい
- 使い終わったら、そのままかけられる
という方法が合っていることが見えてきました。
そこで、きれいにしまい込む収納から、フックなどを使った「かけるだけ」の収納へと変えてみました。
すると、床置きが少しずつ減り、家族が自分で元に戻せる場面が増えていったのです。
これは、家族の意識や性格を変えようとした結果ではありません。家族がすでにしている動きに、収納のほうを合わせてみた、というだけのことです。
玄関収納を見直したときの具体的な様子は、こちらの記事でも紹介しています。

自分と家族の違いを知るヒントのひとつ「利き脳片づけ🄬」
こうした「自分と家族の分かりやすさの違い」を考えるうえで、ライフオーガナイザーがひとつの手がかりにしているのが「利き脳片づけ🄬」という考え方です。
利き脳片づけ🄬は、情報の捉え方や、理解・行動しやすい方法の傾向を考えるためのヒントのひとつ。
自分や家族に合う片づけ方を探すきっかけになる一方で、性格診断のように人を型にはめたり、「このタイプだから、この収納が絶対に正解」と決めつけたりするためのものではありません。
傾向だけを見て判断するのではなく、実際の行動や、日々の生活動線を合わせて確認することも大切にしています。
私が長女や夫、子どもたちの収納を見直したときも、利き脳の傾向とあわせて、実際の動きをよく観察したり、スペースの制約も考慮に入れて収納法を決めました。
家族が片づけてくれない理由を、性格ややる気だけの問題にしてしまうと、そこから先に進みにくくなってしまいます。
それよりも、収納場所や戻すまでの動作、分類の細かさが、その人に合っているかどうかを見直してみる。
誰か一人が我慢しながら片づけ続けるのではなく、家族それぞれが無理なく使える接点を探していく。
「どうして戻さないの?」という問いを、「どこなら戻しやすい?」という問いに変えてみる。
それだけで、見えてくる景色が少し変わってくるように思います。
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ここまで読んでくださった中に、
- 家族に何度言っても、片づけてもらえない
- 自分には簡単な方法なのに、家族には続かない
- SNSや収納本で見た方法を試しても、すぐ元に戻ってしまう
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という思いをお持ちの方がいらっしゃったら、「利き脳片づけ®収納術講座」がお役に立てるかもしれません。
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自分の片づけやすさを知るのはもちろん、家族との暮らしやすさについても考えるきっかけとなれたら嬉しいです!
ご参加お待ちしております。


獣医師・ライフオーガナイザー®。犬猫と人が安心して暮らせる住まいを整える専門家。獣医師としての行動学の知見を活かし、暮らしと空間の「しくみづくり」をサポートしています。江南市を拠点に、訪問・オンラインで対応中。
公式サイト:ハナサカライフ
