今月のCLOメンバーとの勉強会では、札幌で行われたJALOカンファレンスを振り返りました。
同じプログラムを受けてもひとりひとり気づきや視点が異なります。
そしてその違いを受け止め、新たなアイデアや考え方を得ることができるのがCLOメンバーとの勉強会が楽しくて仕方ない理由のひとつ。
今回はこのカンファレンスの学びから、シニア期の犬猫との暮らしに必要な環境調整の考え方についてお伝えします。
シニア期の犬猫と暮らす現実
近年、飼育環境の向上や獣医療の進歩により、シニア期・ハイシニア期を迎える犬猫が増えています。
小さいころから変わらず愛らしい表情を見せてくれる瞬間に幸せを感じますね。
一方で、年齢に伴う体の変化や行動の悩みが増えていることも事実。
痛みをともなう変化に、走ったりジャンプしたりといった本来の行動がとれなくなってくることが多くあります。
また、視覚や聴覚の低下により、生活の質を保つことが少しずつ困難になります。
治療の選択肢が増え、より良いケアを提供できるようになりましたが、かれらが自立して安全に暮らす環境を作るのは飼い主さんたちにとって重要なテーマです。
自立をサポートするためのオーガナイズ
今年のJALOカンファレンスでは、CLO(サーティファイドライフオーガナイザー)プログラムのひとつとして、アリソン・ラッシュ氏による「シニア層クライアント向けオーガナイズの仕組み」についての講演を聴講しました。
身体の変化に合わせながら、不安を軽減しつつ物を選び、使いやすい仕組みを作る。
一人ひとりに応じたきめ細かな対応が必要となる。
こうした学びの中で特に重要と感じたのは、シニア層のクライアントとのオーガナイズにとって「自立を助けること」が共通の目標であること。
これは人だけでなくシニア期を迎える犬猫にも共通します。
犬も猫も本来もつ行動をとること、つまり自立して行動することが、生活の質の維持を可能にするのです。
「宝探し」はシニア犬猫の環境を整えるのにも応用できる
モノを選び取ることが難しく感じる方へのアプローチのひとつに、「宝探し」というやり方があります。
これは自分がワクワクするもの、自分にとっての宝物を選んでもらうもの。
大切なものを選んでいるという安心感が生まれ、モノの取捨選択がしやすくなります。
こんな食器がいいよ、こうして滑りにくくするよ、などシニア期の犬猫が安全に暮らすために有効なアイテムや工夫などは数多くあります。
その一方で「何がいいんだろう?」と迷ってしまったり、あれもこれもと手に入れたけど結局使っていない…などということも。
こうした状況を避けるのに「宝探し」の要素が有効です。
- このコはどんなことが好きなんだろう?
- どこに行きたいんだろう?
- そのためにどんなヘルプが必要だろう
このように前向きに考えていくことで、シニア期の「うちのコ」にとって必要なものやことが選びやすくなります。
それにより犬猫と飼い主の双方が、シニア期の時間を楽しめるようになります。
こんなことができなくなってきたから、と選ぶより安心感が大きく、納得のゆく選択ができる方法です。
「このコらしい暮らし」は互いの幸福度を上げる
元気すぎて困る~、なんていう言葉を耳にする時もいつのまにか過ぎていくもの。
年齢を重ねるにつれて抗えないからだの変化には、かれらに合わせて環境をオーガナイズすることでうまくつきあっていきたいものですね。
こうして犬猫の視点からオーガナイズするという行為そのものも、飼い主さんがかれらを大切にする気持ちの表れ。
お互いのしあわせな時間のためにも、「このコらしい暮らしができているかな?」と考えてみてくださいね!