望むのは人も犬猫もストレスフリーな暮らし

犬猫とのしあわせな暮らしには片づけが必要、と先日のブログでお伝えしました。




今回はわたしが獣医師として感じてきたことと、どんな想いで犬猫との暮らしにライフオーガナイズを取り入れてもらいたいと考えるようになったのか、これまでのわたしの経緯とともにお話します。
ちょっと長いですが、お読みいただけるとうれしいです。



犬猫との暮らしで困っている飼い主さんが多い




わたしはこれまで獣医師として動物病院で一次診療に携わってきました。
病気の予防から治療まで、犬猫と飼い主さんにとって最適な方法を選んでもらえるよう努めています。



症状を把握したり予防や治療プランをたてるには、犬猫と飼い主さんのライフスタイルが関わります。
そこで飼い主さんの「うちのコ」への愛情たっぷりエピソードや、生活の様子から垣間見える楽しい暮らしぶりをお聞きするのが、この仕事の醍醐味でもあります。



ただ、それと同じくらいに困っている様子がうかがえることもよくあります。
毎日のお世話が負担になっている、家族が協力してくれない、治療のために必要な自宅でのケアまで手が回らないなど。



来院される犬や猫のからだを診ることで、飼い主さんの気持ちも軽くなってほしい。
そう願って診療にあたっています。
しかし限られた診察時間では飼い主さんと犬猫の暮らしの困りごとまでなかなかアプローチすることができず、どこかひっかかりを感じていました。



暮らしの困りごとが犬猫の心身に影響も



よく飼い主さんから相談を受ける内容の中には、犬猫の行動に関するものも多くあります。



「うちのコよく吠えるから近所に迷惑かかってるかも」
「猫はストレスに注意って言われたけど、どんなことがストレスになってる?」
「このあいだおもちゃ飲み込んじゃったばかりなのに、またやっちゃってる!」



これらはほんの一例です。
人と犬、猫では、それぞれ体のつくりや習性が異なるので、一緒に暮らすにあたってさまざまな行動面のズレが生じるのは当然のことだと思います。
かといって、お互い安全に生活する上では許容できない行動もありますよね。



飼い主さんも大変ですが、犬や猫にとっても心身に影響を及ぼすので、飼い主さんが環境調整など対策をたてることが多いと思います。



もちろん獣医師としても、お互いの負担を減らして暮らしやすくし、事故や病気を防ぐためにアドバイスをします。
ただ、家庭ごとに暮らす人や犬猫の特性、生活状況や住環境が異なるので、一問一答があてはまらない場合もあります。
そこで「このコの性格だからしかたない」と諦める飼い主さんに、もっと何かできることはないかな?と思う場面にこれまでにたくさん遭遇してきました。





ライフオーガナイズでストレスフリーを実体験




こうしたモヤモヤを頭のすみっこに抱えつつ、自分も結婚・転居・出産といった転機を迎えました。



ちょっと話題がそれますが、ここでわたしについて。
大学まで続けていたバレーボールと、年中無休・24時間救急対応の動物病院での勤務経験。
ご想像の通り、気力と体力にはやたら自信あり。
さらにどんなに寝ていなくても、一人暮らしの部屋はいつも片づけていました。
なので、産後も「働いていたときより眠れてるわ~」と余裕で家事に精を出していました。



長女が1歳のときに動物病院での仕事を再開。
それでも自分のスタイルを崩さず両立してました。根性があればなんでもできる精神で。
しかし長男が生まれたあたりから、さすがにイライラに苛まれるようになります。



「なんでわたしばっかり家事やってるの?」



えらい長いこと持ちこたえたなと、今では我ながら感心するほどですが、気づいたら急に家族を責めるモードに。
ところが家族に協力してもらいたくても、家族はわたしが思うように動いてくれない。
特に全く片づけをしない長女には、イライラを通り越して強い憤りを感じていました。



この状況を打破したい一心で、ライフスタイルや片づけに関する本を図書館で借りては読み漁りました。
そこで「ライフオーガナイズ」に出会います。



片づけができないのはその人のせいではなく、しくみのせい。
片づけしやすい方法は人によって異なる。
自分の方法が正しく、家族にそれを教えてやらせるしかないと思い込んでいたわたしには衝撃的でした。
ライフオーガナイズを学び実践していくことで、家族への理解が深まり、少しずつわたしのイライラは減っていきました。


秒も続かなかった収納


よりよい選択を可能にするのは、違いを知りしくみを作ること


ライフオーガナイザー🄬1級資格を取得してから、慢性的に片づけられない方へのサポートを学ぶ「CLOプログラム」を受講しています。








こちらで脳の機能障害などについて学んでいます。
そうすると犬猫のほうも気になるもの。
獣医師になりたてのころから気になりつつも、これまでなかなか対応が難しかった犬猫の問題行動。
動物の行動学も遅まきながら勉強を始めました。



こうした経緯から、犬猫との暮らしや関係性において「しょうがない」と諦めがちなことでも、その家庭ごとで人と犬猫相互の違いに対する理解やしくみ作りにより、ベターな選択ができるようになると考えるようになりました。



大切にしてほしい、いとおしく思いあえる時間



わたしは飼い主さんと犬猫たちがほっとした表情になるとき、大きな喜びを感じます。
「ほっとする」ときを、普段の暮らしでもたくさん増やしてほしいと願っています。
それによって、飼い主さんと犬猫がお互いをよりいとおしく思いあうことができると期待しています。



なので、これからも獣医師とライフオーガナイザーとして、犬猫との暮らしに笑顔が増えるオーガナイズサポートを行っていきます!